2011年9月24日 (土)

【借地・借家】 父の娘婿に対する土地使用許可と解約

 
東京地裁H23.5.26(判例時報2119号)

<事件の概要>※簡略化しています
●ある土地の持ち主が,長女の夫であるYに土地を無料で貸した。
●その後,持ち主が死亡し,三女Xが土地を相続した。
●Xは,Yが不貞行為を重ねていたことを後に知って怒り,Yに土地の返還を求めた。

<裁判所の判断>
●XY間で親族として良好な関係が継続する限りは,本件使用貸借契約も維持される。そうした関係が破壊された場合は,民法597条2項但書類推適用により契約の解除が認められる。
●本件の場合,不貞行為の発覚によってXY間の信頼関係は破壊されているから,使用貸借契約の解除が認められる。

<大伴弁護士の一口コメント>
●無料で使わせてあげる「使用貸借」は,もともと親族間の信頼情誼に基づくものであることが多いと考えられます。このため,一般的な「賃貸借」とは異なり,契約と無関係な不貞行為という事情による契約の解除を認める余地があるわけです。

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2011年4月29日 (金)

【消費者】 生命保険契約における告知義務違反

 
盛岡地裁H22.5.14(判例タイムズ1342号)

<事件の概要>
●Xの夫が,Y銀行で住宅ローンを組み,団体信用生命保険に加入。
●2年後,Xの夫は肝臓ガンで死亡。
●保険会社は,Xの夫に告知義務違反があった(「2週間以上にわたり医師の治療(指示・指導)を受けたことがあるか」との問いに対し「無し」と回答されていた)ことを理由に保険契約を解除するとして,Y銀行に保険金を支払わなかった。
●X→Y銀行に対し,保険金請求権の存在につき確認の訴えを提起。

<裁判所の判断>
●診療録に,医師からの具体的な指示・指導に関する記載は見あたらず,告知義務違反は認められない。
●Y銀行・保険会社間の保険金請求権の存在を確定することは,Xにとって(他人間の権利関係ではあるが)紛争の終局的解決につながるので,確認の利益が認められる。

<コメント>
●告知書の文言解釈にあたっては,素人である加入者の認識・受け止め方も考慮すべきであるとの判断が示されており,告知義務違反が無限定に広がることに歯止めをかけています。
●Y銀行が保険会社を訴えるということは期待できない中で,紛争解決のために確認の利益を認めた結論は妥当でしょう。
●もしY銀行がXに対して貸金請求訴訟を提起した場合,Xはいかなる根拠に基づいて支払いを拒めるのかという問題もあります(保険事故の発生により貸金請求権が消滅するという見解,権利の消滅は否定しつつも支払拒絶の抗弁権を認める見解など)。

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2011年4月28日 (木)

【消費者】 介護付有料老人ホームの入居一時金と消費者契約法10条

 
東京地裁H22.9.28(判例時報2104号)

<事件の概要>
●Xは,介護付有料老人ホームYと入居契約を締結。
●契約では,入居一時金1155万円・入会金105万円・施設協力金105万円を支払うこと,入居一時金は20%を契約時に償却し,残り80%を5年間で償却する旨の定めがあった。
●入居者(Xの母)が,施設内で転倒・死亡。
●X→Yに対し,消費者契約法10条などに基づき,入居一時金の全額を返還するよう請求。

<裁判所の判断>
●入居一時金の償却は,東京都の指導指針に従ったものであり,公序良俗に反するほど消費者の利益を一方的に害するものとまでは認めがたい。

<コメント>
●判旨や解説にもあるとおり,入居契約の有効・無効という争い方よりも,むしろ施設内事故の発生についてYの損害賠償責任があるのかどうかを端的に問題とするのが本来のスジでしょう。Xがあえて契約の有効性一本で争ったのは,介護義務違反や因果関係を立証する上で何らかのハードルがあったのかもしれません。
 

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